研究概要 |
研究A. 粘膜傷害面積の測定および胃内腔液のCGRPを測定 カプサイシン(Cap)によるエタノール(EtOH)胃粘膜傷害の抑制で(ニューラルエマージェンシーシステムそのもので) 1.Capによる胃粘膜傷害抑制とCGRPの遊離量はCapの用量(0.016-1.6mM)に依存的であった. 2.Capによる胃粘膜傷害抑制はCGRPの拮抗薬であるCGRP8-37にて消失する事よりCGRPを介する抑制作用である. 3.Capによる胃粘膜傷害抑制はPGの合成酵素阻害薬であるインドメタシンにて消失し,この時CGRPが遊離されなくなった. 4.CapとEtOHを胃粘膜に投与するとPGI_2が産生されるがPGE_2は産生されなかった. 5.ワイルドタイプマウスとIPレセプターノックアウト(KO)マウスを用いてCapによる胃粘膜傷害抑制の実験を行うとIPレセプターKOマウスではCapによる傷害抑制は消失し,またCGRPの遊離も起こらなかった. 以上よりニューラルエマージェンシーシステムにおいてCapにより内因性のPGI_2が産生されてそのPGI_2の存在によりCGRPが遊離しやすくなり傷害抑制が起こっていた. よって少なくとも内因性PGI_2はニューラルエマージェンシーシステムにとって重要なものと考えられる.PGE_2は作用しているのか否かは現時点では判明していない.今後の展開が期待される. 研究B. 胃粘膜基底部微小循環観察法を用いて KOマウスを使用する関係でマウスの胃粘膜基底部微小循環観察法を確立する事が出来た. rat CGRP (0.01-1μM)は細動脈を用量依存的に拡張させ,その拡張はhuman CGRP 8-37 (10μM)にて抑制された.この反応はラットと同等で,rat CGRPとhuman CGRP 8-37はマウスのCGRPレセプターに作用する事が確認された. しかしまだ本研究の内容に迫る実験迄には到達していない.
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