研究課題/領域番号 |
13672399
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
森田 邦彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80327717)
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研究分担者 |
小林 芳夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80118950)
谷川原 祐介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30179832)
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キーワード | メロペネム / 薬物血中濃度モニタリング / 薬物体内動態 / 感受性試験 / トラフ血中濃度 / ピーク血中濃度 / CRP / MIC |
研究概要 |
本研究は、重篤な術後感染症の治療に繁用される濃度依存型あるいは時間依存型の各抗生物質を対象として、トラフあるいはピーク血中濃度と感受性試験成績(MIC)との関係を解析し、治療開始期の投与設計に向けた指針を得ることを目的とする。本年度は、カルバペネム系抗生物質であるメロペネム(MEPM)について、重症感染症例を対象としてMEPMの時間依存的殺菌作用の特性を考慮した用法用量のあり方を探索した。 重症発熱患者でMEPMが投与された血液培養陽性例のうち、投与期間中にMEPMの血中濃度モニタリングを実施し得た18症例(平均年齢=63.4歳)を対象とした。投与開始後3〜7日の間に点滴静注終了時(ピーク)と次回投与直前(トラフ)の2点で採血した試料についてMEPMの血中濃度をHPLC法で測定した。これら血中濃度と患者容体推移の指標であるCRP値との関係を解析したほか、このうちの10症例からの分離菌株について感受性試験を実施し、血中濃度とMIC値との関係を解析した。 CRPの低下率を指標として、MEPMの奏効性能と用法との関係を解析した結果、1回0.5〜1gを12時間間隔またはそれ以上の時間をあけて投与した場合(有効率25%)に比べ、1回0.25〜0.5gを6時間間隔で投与した場合(有効率60%)の方が良好な奏効性能を示した。このときの血中トラフ濃度には6時間間隔(平均6.0μg/ml)>12時間以上の投与間隔(平均2.6μg/ml)の関係が見出され、有効例と無効例の間にはトラフ濃度/MIC値の比に有意差を認めた。一方、ピーク濃度には上記のいずれとも有意な関係は認められなかった。 以上より、MEPMは1回0.25〜0.5gの6時間間隔の投与で有効なトラフ血中濃度を保ち得るものと考えられ、現在広く用いられている1回0.5〜1gの12時間間隔での投与法は、再考すべきことが示唆された。
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