小腸や腎臓の上皮細胞のbrush border membraneに発現しているpeptide transportersは、di/tripeptidesの(再)吸収を司っている。このtransportersは、H^+勾配を駆動力とした2次性輸送担体であり、H^+とともにdi/tripeptidesを細胞内に輸送する。この輸送担体に関する研究は、従来より小腸、腎臓の上皮細胞より調整した膜小胞を用いた系により検討が行われてきたが、米国Leibach教授と本申請者との共同研究により、脳組織にもPEPT2が発現、機能していることを昨年度までの科学研究費により示すことができた。本年度は、ヒトにおいてもPEPT2が脳内で発現しているか否かを明らかにするために、ヒト小脳cDNA libraryよりfull-length cDNAを単離し、過剰発現系の構築をおこなった。すなわち 1.ヒト小脳cDNA libraryよりPCRおよび5'-Raceおよび3'-Race法を駆使してhuman PEPT2 cDNAを単離した(hPEPT2/pSPORT-CMV)。 2.hPEPT2 cDNAをpCI-neo mammalian expression vectorにsubcloningし、pSV2とともにCHO細胞およびHEK293細胞にco-transfectしblascydine S でselectionをかけることによりhPEPT2過剰発現系を構築することができた。 次年度は、この発現系を用いてhPEPT2の輸送機構に関する詳細な検討をおこなうとともに、アミノ酸輸送系との協奏的な発現・輸送制御機構に関しても検討を進める予定である。
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