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2003 年度 実績報告書

アルツハイマー病の動物モデルに関する分子薬理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13672407
研究機関福岡大学

研究代表者

岩崎 克典  福岡大学, 薬学部, 助教授 (10183196)

研究分担者 三島 健一  福岡大学, 薬学部, 助手 (00320309)
藤原 道弘  福岡大学, 薬学部, 教授 (10091331)
キーワードアルツハイマー病 / 脳虚血 / ChE-阻害剤 / ラット / 迷路学習
研究概要

我が国のアルツハイマー病患者の多くは、本病に加えて高血圧症や動脈硬化などの循環器系の生活習慣病を併発しているあるいは罹患歴がある。さらに、本病は更年期以降の高齢女性にも罹患率が高いことが知られている。本研究ではこのことに着目し、いわゆるアルツハイマー病の病因のみならず上記の生活習慣病由来の疾患を併せ持つ、実践的な動物モデルを作成し、新薬開発の一助を得ようとした。また、家族性アルツハイマー病遺伝子を移入したトランスジェニックマウスを用いて、行動解析を行い薬効評価に応用できるか否かを検討した。
(1)ラットを用いて、短時間(10分間)の脳虚血とβ-アミロイド(1-42)の脳室内連続微量注入を併用して行ったところ、8方向放射状迷路課題において著明な空間記憶障害が発現し、海馬のCA1領域には著明なアポトーシスが見られた。さらに、海馬からのアセチルコリン(ACh)遊離の変化を調べたところ、本モデルではこれが著明に低下していることも分かった。これらの変化に対して、ACh-E阻害剤であるドネペジルはアポトーシスを抑制することなくACh遊離と記憶障害を改善することが分かった。脳代謝改善薬であるイブジラストはACh遊離を改善しアポトーシスも抑制することにより空間記憶を改善することも分かった。
(2)更年期障害型のアルツハイマー病の動物モデルとして、卵巣摘出ラットを用いて、β-アミロイド(1-42)の脳室内連続微量注入を行ったところ、8方向放射状迷路課題において著明な空間記憶障害を発現し、海馬のACh遊離も低下した。しかしこのモデルでは海馬にアポトーシスは発現しなかった。これに対して、ドネペジルならびに漢方方剤である当帰芍薬散が奏効することが分かった。
(3)タウ蛋白質の過剰リン酸化を生じるタウオパチーはアルツハイマー病に類似する疾患であるが、このトランスジェニックマウスを用いて行動解析を行った結果、本モデルは10ヶ月齢でヒトの初老期うつ病様症状を誘発することを見いだし、これがアルツハイマー病の引き金になる可能性を示唆した。またこの症状にはSSRIであるフルボキサミンが奏効することも見いだした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Katsunori Iwasaki et al.: "Effect of nilvadipine on the cerebral ischemia-induced impairment of spatial memory and hippocampal apoptosis in rats"Journal of Pharmacological Sciences. vol.93. 188-196 (2003)

  • [文献書誌] Katsunori Iwasaki et al.: "Non-NMDA mechanism in the inhibition of cellular apoptosis and memory impairment induced by repeated ischemia in rats"Brain Research. vol.995. 131-139 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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