研究概要 |
先天性下垂体ホルモン複合欠損症の病因遺伝子の解明や、自己免疫性下垂体炎の自己抗原の解明を進めていく一つの方法として下垂体に特異的に発現する遺伝子を明らかにし、検査法の開発を目指す。本年はBodyMap法を用いて明らかにしたヒト下垂体特異的に高頻度に発現しているcDNAの3'末端配列をプローブにして、ヒト下垂体cDNAライブラリーよりcDNAをスクリーニングすることにより、下垂体に特異的に発現する2つの新規遺伝子、PGSF1(pituitary gland specific factor 1)、PGSF2を明らかにした。PGSF1は1kb前後の2つのsplice variantのcDNAあり、129と92アミノ酸の蛋白、PGSF1aとPGSF1bがコードされ、このうち40アミノ酸が細菌のproteaseと40%一致した。Northernでは下垂体特異的な発現が認められた。酵素は自己抗原となることも多く、自己免疫性下垂体炎の診断のマーカーになる可能性がある。PGSF2は1.8kbのcDNAに243アミノ酸の蛋白がコードされている。データベースでは4.4kbで3'末端が異なるIGSF1/IGDC1がX染色体のゲノム解析より報告されていた。特徴は免疫グロビン様ドメインを持つことで、PGSF2には2つ、IGSF1/IGDC1には12個認められた。更にシグナルペプチドがあり、PGSF2は分泌蛋白と想定された。NorthernではPGSF2は3'プローブでは下垂体特異的な発現が認められたが、5'プローブでは4.5kbのbandも得られ、IGSF1/IGDC1として,もスプライスされているようである。IGSF1/IGDC1は膜貫通部位があり、細胞の局在に関わる可能性がある。
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