研究概要 |
1)XE2100を用いた破砕赤血球測定プログラムの確立 多数例の正常検体、小球性赤血球検体等を用いてGate設定を行い、目視法と良好に相関する破砕赤血球定量法を確立した(Clin Lab Haematol,2001)。 2)症例の解析 研究対象症例についてはデータ使用前に患者本人、あるいは本人が判断できない状況にある際には家族に同意を得て経過観察を行った。 (1)微小血管障害症:血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)症例13例を経過観察し、目視法との相関を確認した。症例の経過観察等に応用可能であることが判明した(日本血液学会Asian Session発表、2001)。破砕赤血球比率はLDH, LDアイソザイム1+2分画、トロンボモジュリンと有意に相関した。 (2)造血細胞移植関連血栓性微少血管障害(BMT-TMA)の診断に有用か否かの検討を行うため、11例の移植症例を経過観察した。同種移植6例中5例で破砕赤血球の増加が認められたが、典型的なBMT-TMAに到った症例は経験していない。自家末梢血幹細胞移植症例では破砕赤血球増加例はみられなかった(日本造血細胞移植学会発表、2001)。 (3)20例の血管炎を伴う自己免疫疾患での観察では2例で増加がみられたのみであった(SLE腎症例および多発性皮膚潰瘍合併強皮症例)。 計数器での判定は細胞サイズに依存しているため、形態上の特徴を反映することができない。この点を克服することが今後の課題ではあるが、現在の方法で臨床的に有用な指標になりえると考えられる。
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