研究概要 |
本年度は健常者と患者群との比較を中心に行った.また,昨年度はセロトニンおよびその代謝産物のみの検討であったが,本年度はカテコールアミン系特にノルアドレナリンの代謝産物である4-hydroxy-3-methoxyphenyl-glycol(MHPG)の測定も試みた.唾液採取の同意が得られた健常成人50例と片頭痛患者12例について検討を行った.健常成人について精神症状をself-rating questionnaire for depression(SRQ-D,筒井ら,1981年)を用いて評価した.測定した神経伝達物質はセロトニンおよびその代謝産物である5-hydroxyindole acetic acid(5-HIAA),カテコールアミンの代謝産物に加えてそれらの前駆体のアミノ酸であるトリプトファンについて検討した. 1)唾液中神経伝達物質測定法の確立 唾液の採取には唾液採取管(Salibette, Sarstedt社製)を凧い神経伝達物質の測定には高速液体クロマトグラフィーを用いた. 唾液の前処理に前年度は除蛋白操作を行っていたが,検討の結果、除蛋白操作は不要で,0.45μmのフィルターによる前処理のみで測定が可能であることが判明した.さらに,3,4-dihydroxybenzylamine(DHBA)を内部標準物質として用いることにより,精密な測定が可能であることがわかった. 2)ストレスおよび疼痛性疾患における唾液中神経伝達物質の変動 ストレスと関連の深い慢性疼痛性疾愚である片頭痛患者では健常者に比較して,SRQ-Dスコアが有意に高値であり,潜在的うつ症状を有すると考えられた.片頭痛について唾液中セロトニン代謝産物を検討した結果,5-HIAAの減少を認めたにもかかわらず,トリプトファンには変動を認めず,セロトニンの含量の低下・産生の低下が存在する可能性が考えられた.
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