研究概要 |
新型ヘルペスウイルスの再活性化が、皮膚にどのような影響を及ぼすかを明かにすることを目的とし、今年度は、次の2点を中心に研究を行った。1)膠原病患者末梢血からのHHV-6,7の検出:主にSLE・MCTD、皮膚筋炎患者について検討を行ったが、nested-PCR法での高感度の方法でも、HHV-6,7が検出された患者はいなかった。症例数が少ないため、さらに追加して検討している。2)ウイルスの皮膚細胞に及ぼす影響:1の結果、膠原病患者の末梢血でのウイルスの増加を認めなかったことから、2つの可能性を考えた。1つは、末梢血にウイルスが増加するのではなく、皮膚細胞(ケラチノサイト、線維芽細胞等)への感染の影響の可能性である。正常皮膚ケラチノサイト、線維芽細胞にHHV-6A,6Bをin vitroで感染させ、RT-PCR法でearly geneとlate geneの発現をRT-PCR法で検討し、early geneの発現はいずれの細胞でも認めなかったが、late geneはケラチノサイト、線維芽細胞にHHV-6Aを感染させると発現がみられ、さらに、これらの細胞ではapoptosis関連遺伝子のFas, Fas-Lの発現を増強した。このことから、膠原病の皮膚病変へのHHV-6の関与の可能性が示唆された。他の可能性として、これらのウイルスの感染した細胞が皮膚に局在して存在し、細胞の直接的あるいはサイトカイン等を介する間接的な影響を考え、皮膚由来A431細胞とMT-4細胞、JJhan細胞にそれぞれZ29株(HHV-6B), U1102株(HHV-6A)を感染させたものを、フィルターを介して混合培養しA431細胞での膠原病の自己抗体であるSSA, SSBおよびFas, Fas-Lについて培養3日後にm-RNA発現を検討したが、変化は認めなかった。さらに、検討時期、メッセージを変えて検討している。
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