新型ヘルペスウイルスの再活性化が、皮膚にどのような影響を及ぼすかを明かにすることを目的とし、今年度は、主にウイルスの皮膚細胞に及ぼす影響について検討を行った。(1)HHV-6持続感染モデルの作製:HHV-6、Z29株をMT-4細胞に感染させた後長期に培養を行った。約6ヶ月間の培養の後、HHV-6 early geneとlate geneの発現をRT-PCR法で検討し、両者ともに発現しており、HHV-6、Z29株がMT-4細胞に持続的に感染しているモデルを作製することができた。この感染モデル細胞について、マイクロアレイ法で非感染MT-4細胞とのサイトカインmRNA発現の変化を検討した結果、持続感染細胞では非感染細胞と比較してIL-1α、IL-18、IL-10R、IL-23α、IL-8等の発現が増強していることが判明した。(2)このHHV-6持続感染細胞から分泌されるサイトカインが皮膚ケラチノサイトへの影響を与えている可能性があるため、皮膚ケラチノサイト腫瘍であるA431細胞を用い、この持続感染細胞のA431細胞への影響について検討を行った。培養したA431細胞とHHV-6感染MT-4細胞を混合培養し24時間後、48時間後に細胞を採取しウエスタンブロット法とRT-PCR法で、蛋白発現、遺伝子発現の変化を非感染MT-4細胞をmockとして検討を行った。その結果、SSA(Ro)蛋白発現が混合培養後24時間後でmockと比較し、RT-PCRで検討した遺伝子発現では変化がなかったが、HHV-6持続感染細胞では増強していた。このことは、患者リンパ球へのHHV-6の持続感染および再活性化により、皮膚細胞のSSA(Ro)抗原発現が増強し、膠原病患者での皮膚病変の悪化あるいは疾患自体の増悪に関係している可能性が示された。その他、RT-PCR法で混合培養後のA431細胞について、SSB、Fas、Fas-L、IL-18、TNF-α、IFN-γ、Bcl-2、IL-1β、IL-4、IL-15、IL-1αについてmRNA発現の変化を検討したが、これらでは変化が認めなかった。さらに、ウエスタンブロット法での蛋白発現の変化およびノーザンブロット法によるmRNA変化の定量的を行っているところである。
|