研究課題/領域番号 |
13672438
|
研究機関 | 愛媛県立医療技術短期大学 |
研究代表者 |
佐田 栄司 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (40187159)
|
研究分担者 |
伊藤 晃 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (30203128)
|
キーワード | 新型ヘルペルウイルス / 膠原病 / 皮膚病変 / HHV-6 / ケラチノサイト / ケモカイン / IP-10 |
研究概要 |
新型ヘルペスウイルスの再活性化が、膠原病の皮膚病変に及ぼす影響を明かにすることを目的とし、研究を行った。今年度は、昨年度報告したHHV-6持続感染モデル(HHV-6、Z29株をMT-4細胞に感染させ持続感染系)についてさらに検討を行った。マイクロアレイ法で非感染MT-4細胞とのmRNA発現の変化を検討した結果、非感染細胞と感染細胞で発現の最も大きな差を示したのはIP-10(interferon-gamma inducible protein 10)と呼ばれるケモカイン遺伝子であった。持続感染細胞と非持続細胞についで、7.5×10^5個/5mlに調整してRMPI 1640培地で37℃、5%CO_2の条件で培養を行い、24時間後に培養上清と細胞を採取し、上清中のIP-10濃度のELISA法による検討と細胞のRT-PCR法による遺伝子発現の半定量を行った。その結果、IP-10濃度が非感染細胞では90pg/mlであったのに対して、感染細胞系では615pg/mlと著明に上昇していた。さらに、採取した細胞から総RNAを採取し、階段希釈を行った後、RT-PCR法でIP-10mRNAの発現について検討し、非感染細胞では総RNA12.5ng/mlで検出されたのに対して、感染細胞では3.1ng/mlで検出され、遺伝子発現レベルでも差があることが明らかとなった。IP-10はCXCサブファミリーに属するケモカインで、活性化T細胞に発現する遺伝子として同定されCXCR3が特異的レセプターであることが明らかとされている。また、IP-10は、ヒトの生体内ではPPDによる遅延型アレルギー反応をきたした皮膚局所の表皮および真皮で発現が確認され、INF-γの局所投与でも同様な反応を示すとされている。膠原病の病態形成においては、Th1/Th2サイトカインバランスはINF-γを含むTh1支配的な方向に傾いていることが示唆されており、このようなHHV-6持続感染細胞によるIP-10産生の増強が皮膚症状の発現ないし増悪に影響を与えていることは十分に予想される事象と考えられる。
|