研究課題/領域番号 |
13672439
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
良村 貞子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10182817)
|
研究分担者 |
佐藤 洋子 北海道大学, 医療短期大学部, 助教授 (90162502)
阿部 典子 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (10259070)
|
キーワード | 看護職 / 医療事故 / 防止 / 日米比較 / 単純ミス / 判断 |
研究概要 |
本年度は、日米の看護職が関与した医療事故判例を収集し、各看護行為場面(生活援助的側面、観察など)と補助的医療行為場面(手術室、検査、予薬など)に類型化し、さらに、注意力不足や確認不足のような単純ミスと、判断不足やシステム上の問題などの専門的ミスに分け、医療事故発生原因を分析した。 日本の医療事故判例では、観察における看護婦の注意義務が徐々に高度化していることが明らかとなった。1990年代の日本の看護職が関与した医療事故判例の分析から、医師の指示がない場合であっても、患者の状態に応じた適切な観察を行なうことが看護職に義務として課せられていた。すなわち、観察時間、その頻度、内容及び方法を決定するのは看護職自身である。また、観察以外にも、患者の安全を守るために必要なケアを確実に行なう義務が課せられていた。したがって、看護職の観察に関する専門性を維持、発展させるためには、患者の異常の有無を判断できる専門的知識、正確な観察技術及び経験の習得が必要である。したがって、今後、看護職の観察能力を向上するプログラム開発が、医療事故防止プログラムに欠くことができない。 さらに、安全確保に関する医療事故防止プログラム開発には、ヒューマン・エラーの防止の観点から取り組む必要がある。薬剤名のラベルの3回確認、人工呼吸器の接続部の確認など、安全確認のための原則の徹底を、どのように行動化できるかが課題である。 アメリカでも、薬剤事故は同様に発生しており、患者の識別や医師の指示と投与薬剤の確認をコンピュータで確認するようになってきている。日本でもこのような取り組みが徐々行なわれるようになってきたが、両国とも医療事故防止プログラムへの取り組みは始まったばかりである。 基本的には、単純ミスをどのように防止するか、その意識の向上と確実な行動化に向けたプログラム開発が急務であることが示唆された。
|