研究課題/領域番号 |
13672439
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
良村 貞子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10182817)
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研究分担者 |
佐藤 洋子 北海道大学, 医療短期大学部, 助教授 (90162502)
新開 淑子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (00264169)
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キーワード | 看護職 / 医療事故 / 防止 / 日米比較 / 与薬 / 確認 / 事例分析 |
研究概要 |
本年度は、日本の看護職が関与した医療事故判例、特に刑事事件に着目し、患者取り違えや与薬に関する事故防止のための方策を具体的に検討した。患者取り違えにおいては、看護師の思い込みや確認不足が明らかとなり、ヒューマンエラー防止の観点からは、複数人の呼称による確認、与薬業務の集約化、複数人による指示票等の確認、患者自身による確認の重要性が明らかとなり、その対策を早急に検討、導入する必要性が示唆された。また、与薬事故では、輸液ポンプ等を使用した際の注入量の入力間違いが多い。特に、点滴もれや患者の自己抜針などの際、与薬再開時の注入量の確認及び複数薬剤のルート確認が重要である。 各医療施設の看護部にインタビューした結果、看護師長等の看護管理者は、リスクマネージャの任命を受けるなど、医療事故防止対策を積極的に推進する役割を担っていることが明らかとなった。その役割は各医療施設で異なっており、具体的に示されていないことが多い。したがって、各医療施設は、リスクマネージャの役割を明確かつ具体的に示す必要がある。特に、看護師が事故発生時にどのように対応するか、は重要な点である。事故をどのように防止するかに加え、被害を身体的・精神的にも拡大しないように、無害化及び限局化するための対応策の明示が必要である。このためには、他施設での事故事例や当該施設でのヒヤリ・ハットの事例分析が有用であるが、定期的な会議等による事例検討及びその検討内容の積極的な開示は、看護職員の事故防止への意欲維持及び向上につながることが期待される。 アメリカでも医療事故は日本と同様に発生しており、両国とも医療事故防止のためのプログラムの必要性が認識されている。したがって、ヒューマンエラーがあることを前提に、どのように効果的なマニュアルを作成し、看護職員に周知徹底するか、が両国において大きな課題となっている。
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