研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、介護保険体制下における在宅ケア体制づくりとして市町村が取り組むべき介護保険事業実施上の課題を明らかにすることである。平成13年度は基礎調査として、群馬県内の一町において、介護保険サービスを利用する側と提供する側双方の立場で、サービス利用・提供の状況と直面している困難の実態を明らかにした。その結果から「在宅ケアの質保証」という観点で市町村が取り組むべき課題を10項目抽出した。平成14年度は本調査として、全国市町村の1/2である1,608箇所の市町村介護保険担当保健師に対して前年度に抽出した10課題の該当状況を郵送調査した。方法は、『課題(1)住民への介護保険制度に関する知識の普及』『課題(2)地域内のサービス資源に関する住民への情報提供』『課題(3)介護保険利用者からの意見の把握』『課題(4)訪問調査員の資質向上』『課題(5)介護支援専門員の資質向上』『課題(6)居宅介護サービス事業者の資質向上』『課題(7)必要なサービス量の確保』『課題(8)サービス調整のための体制づくり』『課題(9)家族介護者への支援』『課題(10)現行のサービス内容で対応できない居宅サービス利用者への支援』の10課題を提示し、現在重点的に取り組んでいる内容を自由記載により調査した。その結果、392市町村(24.4%)から有効回答を得た。課題別の取り組み状況では、『課題(1)』93.1%、『課題(2)』80.4%、『課題(3)』85.5%、『課題(4)』83.9%、『課題(5)』83.2%、『課題(6)』66.3%、『課題(7)』63.3%、『課題(8)』76.0%、『課題(9)』75.0%、『課題(10)』67.1%の市町村が重点課題として取り組んでいるという実態が明らかになった。さらに記述内容から、各課題の要素が7〜12項目具体的に見いだされた。