研究概要 |
【目的】 看護基礎教育で用いられる身体情報の表現の実態、ならびに実際に看護職者が触覚によって収集したデータの情報化プロセスを明らかにする。 【方法】 1)看護護基礎教育で用いられているフィジカル・アセスメント関連図書のうち代表的な2冊(翻訳本を含む)の身体表現の種類と記述方法について分類を行った。分類はアセスメントの方法から聴覚、視覚、嗅覚、触覚、その他の五感覚とした。 2)1)のうち触覚情報が記録に至る看護職者の思考プロセスについて28名の看護婦を対象にインタビューを行い、収集の目的、部位、記録方法などについて分析を行った。 【結果】 1)五感により収集したと判断された身体的データの表現数は8,691であった。このうち、視覚データは5,527(63.6%)、聴覚1,312(15.1%)、触覚339(3.9%)、嗅覚113(1.3%)、感覚器を総合的に使ったデータ982(11.3%)、視覚と聴覚の両方によるデータ252(2.9%)、視覚と触覚87(1.0%)、その他97(0.9%)であった。 2)看護婦が触れた目的は「意識して観察」「観察補助手段」「看護ケアの一部」「無意識」の4つに分類され、部位と目的には有意な関係があった。 3)記録に至る思考パターンは10分類あり、このうち3パターンではデータが全く情報化されなかった。その他7パターンは感覚情報としてそのまま情報化されるものや、データが統合され他の情報への置き換えられるもの、他の情報の補助データとして活用されるものに分類された。表現に至るプロセスには専門的評価、経験、他者の表現との比較、異常性の包含があり、臨床には看護基礎教育で用いられない特有の表現方法が存在する実態が明らかになった。
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