14年度は、前年度に引き続き、英国における介護職員養成制度(NVS/SVQ)の変化について追跡し、介護職から看護職への移行教育志願者の動向について、関係者へのインタヴュー、資料収集を併せて継続して把握した。 英国のNVQには制度発足当初から2種類のレベル(Level2/3)が設定されたが、現在、国のあらゆる職種に関する"技術査定委員会"が5年に1度のSkills Standardの見直し作業に入り、NVQのレベルについて、下位レベルであるLevel2の存続についての見直しや、NVQの業務範囲の拡大と明確化について検討を開始した。また、そこでは、今後さらに上位のLevel4を、看護職との役割区分の問題も含めて設けるのか否かという議論もいよいよ本格的に開始される。一方、NVQ(Level3)の看護大学への進学者も制度開始2年目となる今年はますます増加し、2月の英国看護協会看護教育カンファレンスにおいては13年度より以上に14年度の今年は、NVQ経験のある看護系大学生の学習に関する研究/実践報告が増加した。 英国側質問紙調査については、研究協力者のLes Storey氏および英国看護協会担当役員らとともに調査計画書、質問内容などを詳細に検討し10月には最終版の質問紙を完成させた。調査は、看護職指導者向け、NVQ向けの2種類を作成し、内容には、基本的属性、現在の職務と研修の実態、満足度などについて概要を尋ね、看護職と介護職の業務分担のあり方については、Les氏作成のCompetency概念に基づく詳細な質問項目を準備した。なお、今回は調査対象が主として国立病院(NHS)での調査となるため、質問紙完成後の当局の倫理審査に時間を要し、年度末ぎりぎりでの印刷・郵送となってしまったため、データの集計と報告書作成は来年度に行うこととする。
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