研究概要 |
昨年度は,EBN(Evidence Based Nursing,科学的証拠に基づく看護)に対する大学教員の認識を把握する目的で全国調査を実施した。看護研究のためのEBNに要求されることは何かを明らかにするために,本年度はこの調査データを分析した。調査対象は,平成13年度の日本看護系大学協議会会員名簿に記載されている89大学3155名であり,対象者の一般的属性,EBNに関する知識,授業・研究とEBNとの関係に関する項目について郵送法による自記式質問紙調査を行った。回収数は1170名,回収率は37.1%,平均年齢は男51.1歳,女41.7歳であった。回答者の基本属性に関して全調査対象者と比較したところ,性別分布や専門領域の分布には差はなく,回答に大きなバイアスはないものと考えられた。 主な調査結果は,83.1%が看護研究を現在行っており,そのうち量的研究は32.3%,質的研究は21.4%,量的・質的の両方が46.3%であった。研究が科学的であると回答した割合は,対象の選定や分析結果の解釈で低く,全項目で教授,助教授,講師,助手の順に割合が低下した。講義が科学的かという質問に対し「はい」回答はアセスメント23.9%,看護診断13.6%,看護計画16.5%,看護援助20.1%であった。実習指導が科学的かという質問の「はい」回答はアセスメント28.1%,看護診断15.5%,看護計画20.9%,看護援助20.9%であった。講義が科学的であるとの割合は10%から20%台であり,講義,実習指導ともに看護診断が最低であった。職位別分析では,講義については,全て教授が最高で,助手が最低であった。実習指導については看護診断以外の項目で教授が最低で,講義と実習指導に対する認識が逆になっていた。なお,ホームページ(http://www.clg.niigata-u.ac.jp/~takagi/kaken-h14/kakenmenu.html)に研究結果の一部を公表している。
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