研究概要 |
ラテックスアレルギーに関し,計36の質問からなる質問票を独自に作成した。これに対する有効回答641(富山県内3施設の医療従事者)から以下に記す貴重な情報が得られた。 1.即時型アレルギー既往者を23%(149名)に認めた。その誘因として,ゴム製品との直接/間接的接触(手袋着用,風船接触,歯科処置等)が19%を占めていた。その他に果物誘因を2.3%に認めた。2.上記既往者は,若年者で手術室など手袋使用頻度の高い職場に多い傾向を認めた。3.対処法として,「医師へ相談」(44%)や「手袋使用中断」(35%)より,本アレルギー助長作用のある「ローションや湿潤クリーム塗布」(79%)の頻度が高く,早急に正しい情報を提供する必要があると考えられた。4.手袋資材では,1施設ではラテックス(パウダーフリー)とニトリル製であったが,他2施設では依然としてラテックス(パウダー付き)が最も使用頻度が高いという憂慮すべき実態が明らかにされた。5.本アレルギーのハイリスクとして,即時型アレルギ-に加え手荒れ(60%)や遅発性過敏症既往(25%)を認め,多重のリスクに暴露されている実態が浮き彫りされた。6.89名のうち、ラテックス特異的IgE陽性者は2名であった。このうち1名は無症状であり,本検査導入による無症候姓アレルギーの予知は,医療従事者の評価・管理に活用すべきことが示唆された。また,陽性血清はラテックスのみならずキウイ蛋白にも結合することがウエスタンブロツト法で確認され,今後ラテックス果物症候群の啓蒙も必要と考えられた。7.今回の調査から,啓蒙活動の緊急性・重要性が改めて認識され,その際今回の分析結果の提示は医療従事者への本アレルギーの認知に有力に作用するものと考えられた。今後,アナフィラキシーが報告されている小児領域への調査の展開と低感作ラテックスの開発を行う予定である。
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