研究課題/領域番号 |
13672450
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
木村 留美子 金沢大学, 医学部, 教授 (90169946)
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研究分担者 |
津田 朗子 金沢大学, 医学部, 助手 (40272984)
五十嵐 透子 金沢大学, 医学部, 助教授 (90293349)
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キーワード | アタッチメント / 親子関係 / 子育て / 対人関係 / IWM / 青年期 |
研究概要 |
13県の大学、短大、専門学校生で調査に同意の得られた3066名を対象に研究を行なった。有効回答数は2838名(92.6%)である。調査内容は対象者の属性、生育環境、子どもに対するイメージ、育児観、および幼少期のアタッチメントと現在のアタッチメントであるInternal Working Model(IWM)である。現時点では、対象の属性と生育環境とアタッチメントの関係、および幼少期のアタッチメントがIWMに移行した際に安定型では63.9%、不安定回避法では54.6%、混合型では54.7%がタイプの変化を生じるためこのタイプの移行に関連する要因の検討までを行い、小児保健学会、思春期学会に報告している。 幼少期アタッチメントの安定型やIWMで安定型、混合型へ移行したものは親との関係が良好で、家庭のイメージも肯定的に捉えていた。幼少期アタッチメントの不安定型やIWMで不安定回避型へ移行した者は過去も現在も親との関係が悪く、家庭のイメージを否定的に捉えている者の割合が多かった。生育環境では不安定回避型に外傷体験を受けている者が多く、幼少期に安定型であった者も中学以降に外傷体験を受けることでIWMが混合型や不安定回避型に移行する者がみられ、外傷体験の時期が就学前や小学校など早い時期であれば対人関係の修復が可能であるが、中学など遅い時期に受けた心や体の傷はその後のIWMの形成に影響を及ぼすことが明らかとなった。また、生き方に影響を与えるような人との良好な出会いや出来事は、幼少期に不安定回避型のアタッチメントを形成している者のIWMの移行において安定型や混合型へ移行することが明らかとなり、幼少期に形成されたアタッチメントの変更は困難であるとされてきた考え方と異なる結果が得られた。つまり、一度獲得されたアタッチメントはその人の対人関係の基盤となって長く影響を及ぼすが、一方でその後の置かれた環境によってもその人のIWMに修正と変更が可能になることが示唆された。
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