近年、他者との対人関係に問題を抱えた若者が増加している。人が他者に対して形成している対人関係の様式は、その人が幼少期に親あるいはそれに代わる重要な人との間に形成された親子関係を基礎に発展させてきたものであり、幼少期の親子関係は子どもが親から受けた日々の世話の質によって異なる。Bowlbyはこれを愛着理論の中で「安定型」、「不安定型」、「回避型」に分類し、3つのアタッチメントスタイルとして報告している。 そこで、本研究は、幼少期と成人期のアタッチメントスタイルが、人とのパートナーシップを身につけ、親になるための準備期として重要な青年期の発達課題を引き受けることにどのような影響を及ぼしているのかを検討した。 対象は全国13県の大学、短大、専門学校生3086名(有効回答率92.6%)である。調査の結果、愛着理論による3つのアタッチメントスタイルに加え、本研究では「混合型]、「不安定回避型」、「不明瞭」の新たな3タイプが抽出された。[混同型]と「不安定回避型」はひとりの人の中に異なるタイプが混在したタイプであり、[不明瞭型]はどのタイプにも分類できない、全ての特徴が明らかでないタイプであった。 幼少期に形成された「安定型」と「不安定回避型」のアタッチメントは他のタイプに比べて大人になっても変化する割合が少なく、幼少期に形成されたアタッチメントの影響を強く受けていた。また、アタッチメントスタイルは学生の対人関係や子どもに対する感情、そして将来の親像との間にも強い関連があった。
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