本研究の目的は、介護サービス従事者の職務満足が要介護者および介護者のサービス利用者としての顧客満足にどのような影響を及ぼすかを検討することである。まず、顧客満足度および職満足度に関する文献レビューにより、指標を作成し、調査を実施した。調査の結果は以下の通りである。 対象施設は、K県I保健所管内の訪問看護サービスを行っている15施設である。訪問看護婦(60名)とその利用者(219名)を対象とし、自記式質問紙調査を行った。利用者の顧客満足項目は、「訪問看護の利用しやすさ」、「日常生活の改善」、「訪問看護の技術的な質」など計6領域20項目で、訪問看護婦の職務満足質問項目は、「利用者との関係」、「職場の相互関係」など計9領域29項目で構成されている。有効回収数は訪問看護婦59名、訪問看護サービス利用者156名であった。訪問看護利用者の顧客満足6領域を目的変数とし、訪問看護婦の職務満足9領域を説明変数とするステップワイズ法による重回帰分析を行った。その結果、「訪問看護の利用しやすさ」に有意な正の関連がみられた職務満足領域は、「訪問看護サービスの質」および「職場管理」の2領域であり、「日常生活の改善」では、同様に「訪問看護サービスの質」が、「訪問看護の技術的な質」では、「プロとしての成長」が、「訪問看護サービスの総合評価」には、訪問看護婦の「利用者との関係」が有意に影響していた。 総合的な満足度に影響していたのが、両者の相互関係に深く関連する「利用者との関係」という職務満足であったことは、訪問看護サービスにおいても、職務満足と顧客満足の一方を高めることが他方も高めることになるという互酬性が示唆される。
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