平成13年度の1次調査の結果、訪問看護師の職務満足度と訪問看護利用者の顧客満足度との間には、正の関連性が存在することが示唆された。特に、訪問看護師の「利用者との関係」と利用者の「訪問看護サービスの総合評価」との間に有意な関連がみられた。これらを踏まえて平成14年度は2次調査として、訪問看護サービス利用者ならびに従事者の各満足度を追跡調査し、介護保険施行後の各満足度間の関連とその動態を検討した。 2次調査の結果から、訪問看護サービスにおける顧客満足ならびに職務満足が相互に関連していることが再確認され、性別、年齢などによって相違があることも示された。 顧客満足では、「訪問看護サービスの総合評価」と「他の介護サービスの満足度」以外の顧客満足領域で2次調査における満足度が有意に低くなってた。職務満足については、「訪問看護サービスの質」では、2次調査の方が有意に満足度が高いという結果であったが、その他の全ての領域で両調査間には有意な差はみられなかった。 顧客満足度の差は、制度要因や利用者の個人属性に関する要因がその原因として考えられる。これは、本調査で用いた顧客満足度や職務満足度が、介護保険制度による訪問看護サービスの質の評価にとって極めて有益な評価指標となり得る可能性を示唆するものと考えられ、継続的かつ定期的にこれらを評価、検討していくことで質の管理を行う基盤を提供するものと考えられる。
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