沖縄の伝統文化と風土に培われた長寿社会の社会文化的特性に着目し、沖縄県具志川市平良川地区在住の65歳以上の高齢者200名を対象に訪問面接調査を行った。 結果は、日常的な儀礼行為や民間信仰、死生観について性差により比較検討した。併せて、高齢者の自尊感情に焦点をあて、その関連要因についても検討した。 その結果、祖先崇拝を中心とする伝統行事や祭事への参加状況、仏壇や神棚に対する「拝み」の実状やその意識の相違、シャーマンであるユタに対する関わり状況など、いずれも男性に比べ女性で親和性が高く、その傾向は加齢によっても同様であることが示された。また、高齢者の自尊感情には心身の状況や生活環境要因が寄与することが示された。さらに、伝統的な地域における祭事や行事への参加およびそれを担う役割の存在が高齢者のQOL(quality of life)を高め、自尊感情にも影響している可能性が示唆された。
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