平成13年度は都市部(荒川区)を対象に2つのグループインタビュー調査を行った。 1.男性介護者を会員とするセルフヘルプグループである「介護するオヤジの会」のメンバーに定例会以外のときに集まってもらい、自分の介護状況と男性としての介護上の困難点、周囲からの援助などについて、約2時間インタビューを実施した(12人の男性介護者に協力を得られた)。9人が配偶者の介護者で3人が親介護者であり、そのうちの2人が独身の男性介護者であった。独身男性介護者は配偶者介護とは異なる問題を抱えていると考えられるため、個別のインタビューも予定し、一人についてはすでに実施した。その結果、男性介護者の閉塞性、合理性、身体接触介護への抵抗感、独身者の仕事との両立の困難さ、気分転換の難しさなど予測していた特徴が明らかになった。 2.荒川区の5年以上訪問看護経験のある訪問看護師を対象に、男性独身介護者と、女性独身介護者に焦点を当て、訪問看護をしていて感じたこと、見えてきたことについてグループインタビュー調査を行った。参加協力者は7名であった。いずれの独身者も、人とのかかわりが苦手で閉塞的な傾向があり、介護者との分離が難しく、自分の気分転換が難しい実態のあることがわかった。しかし、参加看護師の対象者は区役所の訪問看護指導事業の対象者であるために、介護者に精神科の病気があるなど偏りのあるケースも多かった。 以上二つの調査を実施したが、詳しい結果の分析はまだこれからである。来年度は結果の分析と共に、個別調査を継続しながら、地域の異なる農村部での男性介護者や独身介護者の実態を調査する予定である。
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