研究概要 |
1)平成13年度末から14年度にかけて質問紙調査を実施した-対象は(1)患者会患者(2)乳腺外来通院患者(3)患者会リーダー(4)看護師(5)医師(6)アメリカの患者会の患者-であり、その結果については、研究協力者を交えて検討考察した。このうち、(4)と(5)については原著論文として京都府立医科大学医学部看護学科紀要に掲載された。 2)平成13年度から平成15年度にかけて、研究代表者と研究協力者は、継続的に乳がん患者会の定例会にアドバイザーとして参加した。患者会における患者同士の交流の様子を知り、大津市で開催された日本女性会議での展示をはじめ社会活動への支援を行い、支部のイベントでは、研究成果についての講演を行った。また、14年度にはアメリカロサンゼルス市を中心にがん患者および乳がん患者のサポート状況について、The Wellnwss Communityで研修を実施UCLA, St.Vincent medicalcenter, Little Company of Mary Hospitalなどでがん治療やサポートの現状を見学した.東洋医療が西海岸では取り入れら患者の安寧に役立っていることも知った. 3)研究代表者は、初年度から継続的に、患者会会員のうち賛同を得られた方10余名から乳がんの回復過程について聴き取りを実施し、病いの経験がそれぞれの自立への過程であることを明らかにしている。さらに、15年度にはロサンゼルス市内でクリニックを開いている日本人医師を介して、ロサンゼルス周辺に在住する日本人女性で、移住後に乳がんを発症した11人(40代から70代)の方々の聴き取りを実施した。アメリカにおいてはインフォームドコンセントが、訴訟問題も視野に入れながらシビアに進んでおり、患者は、手術を受ける医師の選択をはじめ、術式、後療法など自己決定を迫られる場面が多いことがわかった。しかし、初期は困惑しても、対処していくその過程で、治療に関する知識を多く得て、自らの身体観を深めていることがわかった。また、乳がんの治療や術後の生活等に関する解説書は、日本で出版されているものよりも、米国のもの、とくにDr. Loveの著書が実際的でわかり易いという実態を知った。さらに、移住後、生活が安定するまでの困難な状況などについても聴き取ることができた。研究代表者の所属が変わったことから、報告書完成が1年遅れになったが、日米で多くの質問紙調査を実施し、インタビューも多かったため、今回の報告書にはすべての質問紙調査の結果と研修記録、インタビューの一部を収録した.
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