研究概要 |
1.研究目的 看護に関る政策決定過程について検討するために,事例を取り上げ,政策決定過程の分析を行い,さらに,看護職・学生の政策形成に関する理解を促進する目的で,国会で取り上げられた看護の課題についてデータベースを作成する。 2.研究から得られた知見等(平成14年度) 1)看護の課題に関する国会議事録のデータベース作成 第126国会(会期:1993年1月22日〜8月4日)〜第152国会(会期:2001年8月7日〜9月26日)の衆参両院を対象に,「看護」に関連した課題を取り上げた会議,発言者,政党,発言内容について,国立国会図書館「国会会議録検索システム」で検索を行い,看護に関連した課題についてキーワード検索できるように,データーベースを作成した。政策決定過程を図式化し,さらに政治・政策に関連する用語の解説を付記して,複雑な過程がデータベース利用者が理解しやすいようにした。さらに「看護政策学」の資料として看護教育の場で広く活用できるようホームページの開発を行った。 2)政策決定過程の分析-急性期病床における看護職員配置基準決定過程の検討- 平成13年3月,第4次医療法改正にともない一般病床の看護職員配置基準が改められたが,この政策決定過程を分析・検討した。 医療提供体制を急性期と慢性期に分け、急性期の配置基準を作成するという主旨のもと事務局案2.5:1が検討され、最終的には3:1に決定した。ちなみに看護協会案は1.5:1であり、夜勤の看護配置を配慮したものであった。この過程を(1)改善を必要とした背景(2)医療審議会構成メンバーとその立場(3)決定過程を各構成員の発言とそのダイナミクスから分析した。(2)は(1)医療提供側と(2)保険者(3)消費者である国民側に大きく分けられる。(2)が重視することは効率的で効果的な医療であり、(3)は安全で効果的医療であるが(1)の構成は診療所側と中小病院と大病院で立場を異にしており、医療費全体の配分の上から人件費にとられることを嫌う診療所側を代表する医師会の戦略が効を奏し、更に自民党の政務調査会の中の厚生労働部会の圧倒的な医師会支持が結果として3:1の決定を導いていた。
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