• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2004 年度 研究成果報告書概要

神経症患児における被共感体験とその関連要因の検討

研究課題

研究課題/領域番号 13672496
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 臨床看護学
研究機関東北大学 (2004)
山形大学 (2001-2003)

研究代表者

塩飽 仁  東北大学, 医学部, 教授 (50250808)

研究分担者 遠藤 芳子  宮城大学, 看護学部, 助教授 (20299788)
佐藤 幸子  山形大学, 医学部, 教授 (30299789)
研究期間 (年度) 2001 – 2004
キーワード神経症 / 子ども / 共感 / アレキシサイミア / 親子関係 / 養育 / 世代間伝播
研究概要

1.対照群における子どもの共感経験と親の共感経験および感情の言語化の世代間伝播の検討
(1)子どもの共感経験と親の共感経験の関連:小学生では,父親の共感経験が多いほど子どもの父親への共感経験は多いが,母親の共感経験と母親への共感経験には関連がみられなかった。中学生,高校生で親子間に関連がなかった。
(2)子どもの共感経験と親の感情の言語化の関係:小学生男子では,父親のアレキシサイミア(自分の感情を言語化することがうまくできない)傾向が弱いと,子どもの父親への共感経験は少なかった。中学生男子では,父親のアレキシサイミア傾向が弱いと,子どもの父親への共感経験は多かった。小中の女子,高校生では親子間の関連がなかった。子どもの共感経験は,母親と同等かそれ以上に父親の影響を強く受けていることが明らかになり,またその背景には養育態度の世代間伝播があった。
2.神経症患児群と対照群における子どもの共感経験と親の共感経験および感情の言語化の比較検討
(1)子どもの共感経験の比較:父親,母親,きょうだい,先生,友達に対する子どもの共感経験を2群で比較したところ,両群間に有意な差はなく,子どもの共感経験は同程度であると考えられた。
(2)父親の共感経験の比較:父親の他者に対する共感経験では両群問に有意な差はなかった。
(3)父親のアレキシサイミア傾向の比較:父親のアレキシサイミア傾向の比較では,神経症患児群の父親の方が有意にこの傾向が強いことが明らかになった(P=0.007)。
(4)母親の共感経験の比較:母親の他者に対する共感経験の比較では,神経症患児群の母親の方が共感経験が少ない傾向にあることがわかった(P=0.067)。
(5)母親のアレキシサイミア傾向の比較:母親のアレキシサイミア傾向の比較では,神経症患児群の母親の方が有意にこの傾向が強いことが明らかになった(P=0.01)。
3.研究成果のまとめ
本研究により,子どもの神経症発症に関わる要因として親のアレキシサイミア傾向が大きく関与していることが判明した。この傾向が親の共感経験を少なくさせ,また子どもはそのような親に育てられるがゆえに他者との情緒的交流が阻害され,これらが子どもの神経症発症にかかわる危険因子になるという世代間伝播が存在すると考えられた。ただし神経症患児における共感体験は健常な子どもと同程度であり,それは親とのかかわりによるよりも友達との交流に支えられていると推察された。

URL: 

公開日: 2007-12-13  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi