研究概要 |
本年度の科学研究費助成により,介護支援用尿失禁光ファイバマルチセンサの研究について下記に挙げるいくつかの成果を得ることができた。 これまでに試作してきた尿失禁センサをさらに高機能化するために,エバネッセント波分光法を利用した色素ドープ光ファイバセンサシステムの開発研究を主に行った。同システム開発のブレークスルーポイントは大きく分けて回路部とファイバセンサ部とに分けられる。本年度の研究により,回路部に関しては,多波長LED光源を使用した発光回路と受光処理回路の設計・試作にほぼ成功した。また,センサ部に関しては,尿に含まれるタンパク成分と尿酸に着目して,ウラビリノーゲンとメチルレッドをドープした高分子ポリマセンサを合成・使用した。タンパク検出能では吸水性や反応性等に課題が見られたが,尿酸検出能ではかなり高感度なセンサの開発に成功した。また,このセンシング媒体はセンサ機能のみならず微生物や細菌等の3次元形状検出法への展開も期待でき,この研究によって得られた附帯的な成果についてもいくつかの論文誌にて発表した。 以上,本年度の研究により,発光受光回路およびセンサ部の薄膜開発に目途がたったため,次年度ではこの成果によるエバネッセント波分光型のセンシング用光ファイバの開発を目指す。健康管理を必要とする非看護者あるいは患者に対して,尿失禁と尿成分検知をテレメータ方式で行う尿失禁モニタリングシステムを完成させ,臨床応用への可能性を探る。
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