本研究では、光ファイバを用いた尿失禁と尿成分の同時モニタリングシステム、消耗品を使わない尿失禁センシングおよび無線技術を使用した遠隔モニタリングシステムを提案した。センシングの原理は紙の水分吸収による光の透過率の変化を光ファイバにより検出する。本システムはランニングコストが安く、また柔軟性のあるアクリル系光ファイバを使用しており、被介護者の動きを拘束しない。尿成分センサについては、市販の尿検査紙を使用し、ブドウ糖、蛋白質の異常な含有の検出に適した発光ダイオードを選定した。実験によりそれらの検出について確認した。その結果をふまえ、実際にシステムを試作することで、尿失禁および尿成分モニタリングの可能性が確認された。なお他のウロビリノーゲン、潜血、ペーハーなどにおいても適切な発光ダイオードにより、それらのモニタリングが可能であると考えられる。尿成分のモニタリングは多くの患者がいる医療施設で、患者の様態把握に役立つと思われる。 さらに、よりランニングコストの軽減のため、尿失禁センサ部に紙お変わりに布を使用したセンシングを提案した。このセンシング部はオムツとの洗浄によって、再利用可能である。使用する布は綿製のものが化繊に比べ、センシングに効果的であった。この布を使用したモニタリングについては、無線を利用した遠隔モニタリングシステムを構築し、実験的にその動作を確認した。このシステムは尿失禁と尿成分の同時センシングにも使用でき、多くの被介護者のいる施設での集中管理に役立つと考えられる。
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