1 研究目的:長期療養型施設において死を迎えた高齢者の家族が終末期高齢者の死を受け入れる過程とその要因を明らかにし、終末期高齢者の家族ケアを検討する。2 対象・方法:療養型病床群の遺族14例。面接を録音し逐語録を作成。家族からみた医療者の対応、高齢者の様子等の語りを抽出、カテゴリー化した。3 結果と考察:入院時と臨終時に焦点をあてた。1)入院中家族の高齢者の死を受け入れる過程6カテゴリーに分類、カテゴリー間の関連は、高齢者の入院時から死までの時間軸に沿い、家族は医師の説明、看護職の行動、医療者に対する印象、高齢者の様子の各々相互に作用していく中で、家族が行動し、家族は肯定的・否定的感情の狭間で揺れている様が明らかになった。更に入院中家族が死を受け入れる過程の影響要因は医師の説明、看護師の行動、高齢者の様子の3つが影響していると考える。 2)臨終時では、7カテゴリーに分類、カテゴリー間の影響要因は、時間軸に沿い、家族は医師の説明、看護師の行動、高齢者の様子が各々相互に作用していく中で、家族の認識のもとで行動を行い、家族は臨終時に肯定的・否定的感情の狭間で揺れている様が明らかになった。臨終時の影響要因は、医師と看護師の行動、家族へのケア、臨終時の高齢者の様子の4つが影響していると考える。 入院中医師の説明や看護職の行動を手がかりに、家族は高齢者の衰弱のサインを読みとり、定期的病状等の情報を得、入院中や臨終時の看護職の行動から揺れながら死を受け入れいくと推察される。また、家族が捉えた臨終時の様子は、苦しまず、穏やか等のサブカテゴリーが含まれ、家族は高齢者が静かな眠りを切望していることが伺えた。死に逝く人の安楽の保証に関するニードであると考える。高齢者が安楽な死を迎えたことは、納得、立派な最期と認識し安堵され満足につながると考える。看護者は家族のニードを認識し臨終時の細やかな配慮の必要性が示唆された。
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