研究課題
1.外来通院・入院がん患者の代替的治療に対する実態調査外来通院・入院がん患者68名にインタビューを行った。そのうち代替的治療を取り入れている患者46名の分析を行った結果、(1)取り入れた理由(きっかけ):<周囲から勧められた>が多く、次いで<自らがん効果に関する情報を得た><現代医学によるがん進行の抑制に対する限界を感じた>等であった。(2)代替的治療に対する考え、思い・期待:<一縷の望みに賭けたい><自分の持っている生きる力を最大限に発揮したい><自分と他者との関係を大切にしたい>という思い・期待と<がんの効果に対する治療としては疑問だ><高額のため躊躇する>という考えを併せ持ちながら代替的治療を取り入れていた。(5)実施上のメリットと問題点:メリットは<抗がん剤の副作用が軽くなった><不快症状が改善した>等であり、問題点は<金額が高額だ>等であった。2.看護職者の代替的治療に対する意識調査223施設1154名のがん看護に携わっている看護職者に調査を依頼し、743名から回答が得られ回収率は64.4%であった。対象者は平均年齢35.1歳、勤務年数は5年〜10年の者が最も多かった。(1)看護職者自身の代替的治療についての考え:<肯定的・否定的どちらでもない>と答えたものが番多く49.4%であり、<否定的に思っている>は2.2%であった。(2)がん患者からの代替的治療に関する相談状況:代替的治療に関する相談を受けた経験があると回答した者は59.1%で看護職者の半数以上が相談を受けていた。相談内容で最も多かったのは<病院で代替的治療を受け入れてもらえるかどうか>で75.9%が回答していた。(3)代替的治療が患者へもたらす影響:メリットとしては、<病気のために自分(家族)でできることはしたいという患者・家族の満足感が得られる>が76.3%であり、デメリットでは<有効性・安全性が不確実である>が66.1%であった。(4)代替的治療を取り入れるがん患者に対する看護職者の役割:最も多いものは<患者の思いを傾聴する>で85.1%、次いで<医師に患者の意向を伝達する>51.8%であった。