研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、がん患者の代替的治療の取り組み状況と看護職者のがん患者の代替的治療に対する意識・態度を明らかにし、代替的治療を取り入れるがん患者に対する看護職者の役割・機能を導き出し、看護のあり方を検討することである。がん患者68名を対象に、代替的治療の取り組み状況に関する内容について面接法によって調査し、質的分析を行った。また、223施設1154名のがん看護に携わっている看護職者を対象に、看護職者のがん患者の代替的治療に対する意識・態度に関する内容についてアンケート調査を実施し、データ分析は統計ソフトSPSS10.0を用い、自由記載部分は内容を整理した。がん患者の代替的治療に対する実態調査の結果から、がん患者にとって'光'としての代替的治療、と'闇'としての代替的治療が明らかとなり、また、代替的治療を介した"人と人とのつながり"の重要性、代替的治療の取り入れに与える影響が明らかとなった。看護職者の代替的治療に対する意識調査からは、代替的治療に関する現状、代替的治療に対する看護職者の考え方、代替的治療を取り入れるがん患者に対する看護職者の役割が明らかとなった。以上の二つの調査結果より、代替的治療を取り入れるがん患者に対する看護のあり方は、1.生き続けようと積極的に取り組もうとする患者に理解の態度を示す、2.患者の希望、価値観に基づいた適切な情報提供を行い、自己決定できるよう支援する、3.不利益から患者・家族を擁護する、4.家族・医療者等のつながりが十分機能するよう働きかける、5.代替的治療に対する看護職者の信念を明確にする、ことであることが示唆された。