研究概要 |
痴呆性老人を介護している家族介護者23名を対象に、サービス利用と介護生活についてインタビューをおこなって得られた成果は以下のようであった。 1,痴呆性高齢者は重介護の人が多く,施設入所が4名であった。1年後にさらに1名が施設入所,2名が入院になっていた。これら入所、入院の理由は痴呆性高齢者の徘徊や暴力という問題行動であった。入所サービス利用を決めるには、家族介護の限界を助言する専門職の後押しがあった。これらのことから、「入所サービス利用の見極め」「痴呆症状悪化に伴う一時避難の保障」という援助が必要と考えられた。 2,家族介護者はやむにやまれぬ心情で入所サービスを利用していた。施設から在宅に戻った事例は寝たきりになっていた。このようなことから、「入所している高齢者のケアと家族介護者への施設サービスの質の向上」が必要であると考えられた。 3,軽度の痴呆性高齢者には利用するサービスがなく、家族の会などのインフォーマルな援助を利用していた。このことから、「痴呆が発症した早期からの援助活動」を「インフォーマルな援助者を発掘し育てる地域づくり」によって行い、「痴呆性高齢者自身の自己実現」をはかり、「問題行動が顕在化しないような援助」を予防的におこなっていくことが必要と考えられた。 4,在宅で寝たきりの高齢者では通所サービスや短期入所を使って介護者の負担軽減をしていたが、高齢者には身体的に負担となっていた。このことから、「病状が重い高齢者に対する在宅サービスでの健康管理」が必要であり、「高齢者の通所サービスによる負担を軽減し、介護者の自己実現を図るような訪問サービス」が必要と考えられた。 5,家族介護者は、インタビューのときに、自己の介護を振り返り、介護の意味を語っていた。このことから「家族介護者への語りの援助」の重要性が考えられた。
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