研究概要 |
まず,医療者側の子どもへのインフォームド・コンセントについての考えと行動の現状を把握するために,日米の病院で小児がん専門医,心理士,チャイルドライフ・スペシャリスト,ナースへのインタビューをおこなった.また,医療面談の場に参加して,その場の状況を観察すると共に,データを収集し,医師と子どもとの間のやりとりや相互作用を検討している.この結果は,日米の小児がん専門医に対しておこなった,インフォームド・コンセントに関する意識調査(質問紙調査)の集計結果ともあわせて,今後さらに検討する予定である. 一方,インフォームド・コンセントをうけた子どもの側の体験を把握するために,昨年度とは異なる病院で,病名を含んだ説明を受けて闘病した思春期の小児がんの子どもとその家族(保護者,兄弟),闘病に関わった医師,看護師に聞き取りをおこない,さらに病棟で参加観察をおこなって,子どもたちがどのような闘病を体験したのか,その結果としてどのような変化が生じたのかをgrounded theory approachをもちいて検討した. どちらの病院においても,病名に対する子どもの衝撃の程度は,あらかじめ病名に対してもっていたイメージによって異なっていたものの,多くの子どもは短期間のうちに落ち着き,治療を医師に一任して再発や死に対する憂いを排除することで治療に集中できる環境をつくろうとしていた. 来年度が助成の最終年であるため,これまでの結果もあわせて報告書を作成したいと考えている.
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