科学技術の急速な進歩は、医学・医療の分野での革新的な変化をもたらし、医療の高度化と専門化を促進させてきた。これによって救急医療にも影響を及ぼし、多大な変化をもたらしてきた。救急看護もその変化に取り残されることのないように邁進し、救急看護のアイデンティティを主張していくことが重要と考える。そのためには、看護者によって研究に裏付けられた救急看護を創造し確実な基盤を築いていく必要があり、本研究は、そのための基礎的研究と言える。 第I章では、救急看護学研究における問題を示し本研究の必要性について述べた。 第II章では、平成13年度に実施した全国救急医療施設における救急初療看護の実態について報告した。 第III章では、平成14年度から15年度に実施した救急初療看護の場において実際に行われていた看護ケアについての分析結果を報告した。これは平成13年度調査で協力の得られた施設7施設の中から、参加観察および面接調査に同意の得られた2施設において質的な研究を実施したものである。看護ケアの分析の結果、8カテゴリー37サブカテゴリーを抽出した。救急初療における看護ケアは、生命と機能を維持し、健康問題を解決するための今後の方向性を決定するプロセスであった。 第IV章では、アメリカ救急看護の実態を概観しながら、救急看護現場における教育の実態について報告した。 第V章は、3年間におけるまとめと今後の課題について記した。
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