双生児を育てている家族は増加しており、双生児はじめ多胎児の育児支援は少子化時代の課題にもあげられている。今後、多胎児を産み育てる家族支援を実施するにあたり、看護実践の根拠ある方向性を導き出すために本研究においては、双生児の乳幼児を育てる母親の精神身体健康と父親の家事育児行動の実態を明らかにし、母親の健康度に影響を与える要因を単胎児の母親と比較しながら分析検討することを目的とした。対象は4〜24ヶ月の双生児の父母98組と、コントロール群として同月齢の単胎児の父母218組である。方法は郵送法にて実施し、母親の心身の健康度についてはGHQ30を用い、父親については、家事育児行動の実施状況を調査した。結果は双生児の母親のGHQ合計は10.0であり、単胎児の母親7.2に比べて有意に高値であった。またGHQの下位項目では「睡眠障害」を除いて「一般的疾患傾向」「身体的症状」「社会的活動障害」「不安と気分変調」「うつ傾向」のすべての領域において双生児の母親の方が、有意に高かった。双生児の父親は、育児行動については単胎児の父親より行っている頻度が高かったが、家事行動には差はなかった。さらにGHQ各項目において重回帰分析を行い関連する要因を解析した結果、双生児では「睡眠障害」と「一般的疾患傾向」を除いて「夫との会話時間」に有意性が認められた。「一般的疾患傾向」では、「初産経産別」「母の職業の有無」に、また「社会的活動障害」には「夫との会話」の他に「児の出生体重」に有意な値を認めた。双生児の母親には妊娠期から家族を対象とした個別な看護介入が必要であり、特に育児期には母親の心身の負担を軽減するような援助が望まれる。
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