研究概要 |
計画妊娠を推進されている1型糖尿病患者にセルフケア教育の一環として性教育を行うことは非常に重要であり意義があると考えた。このことから、糖尿病をもつ人や保護者を対象に性教育の方法、内容についてプログラムの開発を行うための試作として「性教育セミナー」を開催している。その結果について以下報告する。 過去3回のセミナー通して,思春期の糖尿病をもつ人や保護者は性教育の必要性を感じながらも教育を受ける機会がなかったことが示唆された。特に病気をもつ人にとって、病気のコントロールとともに安全な妊娠出産を体験するためには、より専門的な知識をもつ人の協力が必要である。しかし、その専門家の協力を学校教育の中で得ることは非常に困難であるといえよう。したがって、医療機関がその役割を担う必要がある。 このことから、その教材の一つとして試作したビデオは、糖尿病をもつ人やその保護者に有効であり、その活用については内容を選択すれば、学校教育の中でも活用できることが推察された。また、性教育や体験談を交えたプログラムを提供することは、糖尿病をもつ人や保護者に対して、セルフケア行動やQOLを向上させる動機付けとしては非常によい効果があると思われた。以上のことから、思春期の糖尿病をもつ人やその保護者に対して系統立てた性教育や作成した教育ビデオのようなプログラムや教材の開発の必要性は急務であり、その社会的意義は非常に高いと思われる。また、リプロダクティブヘルスの立場で長期的な視野で今後教育を行う必要があると考えられる。
|