本研究の目的は、消化器癌手術後の患者と家族員の社会復帰を支援する外来援助方法モデルを作成することである。 I.関連文献による検討の結果、手術療法を受けたがん患者と家族への外来看護の現状は、家族を含めた包括的な援助サーピスとしては開発途中であることが把握され、援助の焦点を明らかにすることと、エンパワメントのためには内発的な動機づけに着目することが有効であると考えられた。 II.関連の国内・国際学会による情報収集の結果、患者中心の看護を維持し続けること、看護援助を必要とする人のところへ看護職者が出向いてケアをサービスすること等の重要性と、がん看護における倫理的問題への挑戦、他職種との協働のあり方、外来という場で患者や家族との継続的な関わりを実現するためのシステム作り等への援助の考え方や具体的な方法の示唆を得た。 III..外来における援助方法モデルの作成内容:昨年度の調査結果から明らかになった患者と家族員の体験をもとに、退院後の時間的経過毎に患者・家族が向き合っている状況を整理した結果、外来における援助は、社会復帰への意思決定過程、自分らしさの回復、がん手術の意味づけ、自らを生き抜くなどに焦点を当てて、患者を含む1単位としての家族へ援助を提供する。援助内容は、症状コントロールに関する教育・指導や精神的動揺への援助、家族間の調整などであり、具体的な援助方法は、面接法および身体感覚や生活状況の対象者の自己評価によるフィードバックなどを活用した援助などである。援助の評価視点は、対象者の身体感覚やQOL、および看護職者のサービスとしての援助提供などとする。 IV.平成15年度に向けての準備:作成した外来援助方法モデルに基づいて来年度から外来にて介入研究を始められるように、本研究1年目に調査の協力を得た病院看護部へ来年度の研究協力依頼を進めているところである。1施設からは概ね協力を得られそうである。
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