本年度得られた研究実績の概要は以下のとおりである。 1.『図書総目録』より抽出した、和算資料に関する書誌データの目録化を完成した。さらには、日本学士院、水沢市立図書館などから再発見された新出史料についても補充を加えることができた。その詳細については、現在準備中の成果報告書で公開をする予定である。 2.宮内庁書陵部に所蔵されている暦算書類の中に、新たに百数十点ほど、関孝和の業績を知る上でも貴重な和算史料がふくまれていることを確認した。その中には明治時代以来所在が不明となっていた資料も含まれており、今後の精査が待たれるところである。この成果については、2005年6月に予定されている日本科学史学会年会において口頭発表をする。 3.関孝和の著作についての概要を整理し、著書として刊行した。佐藤賢一『近世日本数学史、関孝和の実像を求めて』(東京大学出版会、2005年)。特に本書の第1部が本研究課題の成果をまとめたものである。
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