(1)視覚障害者のための漢籍講読法の研究:従来、視覚障害者にとって大きな障害であった中国古典文献や鍼灸・手技療法に関する医学典籍を直接講読する法として、インターネット文献利用による方法を工夫した。 今日、一般の中国古典文献はもとより中国古典医学文献がインターネットで多数公開利用されている。中国語文献やホームページを表示するためには、一般にはインターネットエクスプローラやネットスケープなどというブラウザを使い、エディタ画面でテキストを見ることも出来る。しかし日本語と中国語、台湾での言語の表示には統一性が無く、互いに同じコード番号に違う漢字を当てているために、文字化けという現象が起こる。 そこで展開したファイルをテキストファイルにして、このファイルは台湾などのコードであるので、次にこのファイルを日本語のテキストファイルに転換する。そして、この日本語テキストファイルを視覚障害者用音声化ソフトで読み上げると同時に漢点字にプリントアウトして、両面から講読するものである。現在、古代中国の漢籍文献10数編をダウンロードしてテキストファイル化して活用しているが、変換されない漢字が幾つかあり、今後の課題である。 (2)鍼灸・手技療法の史的考察:上記の講読方法を踏まえて、鍼灸・手技療法に関して、我国はもとより、殷代から漢代に至る古代中国での発展状況を考察すると共に、古代インド医学であるアーユルヴェーダ医学との関連性について史学的に考察し、中国医学が古代インド医学の影響を受けていたことを予測する。
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