1.視覚障害者のための漢籍講読法の研究:昨年度、視覚障害者の漢籍講読法として原典をテキストファイル化したものを音声化ソフトおよび漢点字化ソフトを両用して解読する方法を開発した。本年度は、その具体化として漢籍テキストファイル化を推進した。現在までに中国文献「十三経」のうち6種と、『山海経』『老子』『荘子』『韓非子』『准南子』『史記』(列伝など一部)など十数編のテキストファイル化、およびインターネット上に紹介されている医学典籍『素問』『霊枢』『神農本草経』『傷寒論』『脈経』など十数編のテキストファイルを収集した。さらに現在、「中華医典」(中国CD版)からのテキストファイル化を検討中である。 2.鍼灸・手技療法の史的考察:これまで鍼灸・手技療法に関して、殷代から唐代に至る古代中国、我が国古代における発展状況、ならびに古代インド医学であるアーユルヴェーダ医学との関連性について史学的に考察して来た。本年度は、これらの状況を踏まえて我が国における鍼灸術の発展の基礎となっている近世の状況を検討するために、資料収集に努めた。主なものは、本居宣長、春庭が使用した鍼用具および鍼、『杉山和一伝』『杉山真伝流』巻物2巻、『杉山三部書』。刺鍼手法の変化を検討する史料として、鍼灸術に関する古医書数種類ならびに養生方や漢方薬に関する史料数点である。 次年度においては、これら資料をもとに視覚障害者との関わりなどについて考察を進める予定である。
|