研究概要 |
汎用かつ簡便な身体運動のシミュレーションシステムを構築することを目的とし,平成13年度は準備段階として「剛体リンクモデルの構造定義ファイルの検討」および「コアシステムのプログラミング」を行った.平成14年度は,前年度の実績を踏まえて,以下のプログラムを作成し,シミュレーションシステム全体の構築を行った.(1)3次元シミュレーションシステムヘの拡張:平成13年度に作成した2次元剛体リンクモデルによるシミュレーションのコアプログラムを拡張し,3次元剛体リンクモデルによるシミュレーションプログラムを作成した.この際,2次元モデルと異なり関節の自由度を考慮する必要があるため,関節の拘束方程式(隣接する剛体リンクの角加速度間に拘束条件を与える)を導入した.(2)筋収縮特性を模した関節トルク出力特性の導入:骨格筋が有する筋長-収縮力,収縮速度-収縮力の特性(いわゆるHillの特性方程式)を模して,関節角度および関節角速度によって関節トルクの最大値を制限するプログラムを作成・導入した.(3)GUIの導入:シミュレーションシステムを体育・スポーツの指導現場で利用するためには,簡便なユーザーインターフェイスが求められる.そこで,身体運動シミュレーションの入力情報である関節トルクや関節角度をコンピュータ画面上でマウスを用いて変更できるGUIプログラムを作成・導入した.(4)最適化システム:競技スポーツでシミュレーションを用いる際には,最適動作を推定することが重要となる.そこで,最急降下法と黄金分割探査法(Golden Section Search法)を組み合わせた最適化プログラムを作成・導入した.さらに,構築したシミュレーションシステムを野球の投球動作に適用し,シミュレーションシステム全体の妥当性を確認した.
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