本年度の本研究の目的としては、習慣的な身体活動を測定するためのシステムを作成し、そのシステムの信頼性、妥当性を検討するものであった。被験児は、国立A附属幼稚園の年中、年長の幼児(男女)を対象に測定を行った。手続きとしては、幼稚園での自由な遊び場面での幼児の身体活動パターンを作成するシステムを作成するため、これまで海外で行われてきた幼児の身体活動パターンに関する研究などを参考に、身体活動パターンのカテゴリーとそれぞれのカテゴリーの下位項目を検討した。その結果、「位置」、「活動性」、「環境・相互」「遊び相手の人数」、「遊びの内容」の5つにカテゴリー化し、それぞれのカテゴリー内での下位項目を決定した。作成されたカテゴリーを用いて、従来行われてきた個々人を1対1の形で観察する方法でなく、遊び場面に数人の観察者を配置し、集団を観察していく測定方法を作成した。次に、この作成された方法を用いて、実際に幼稚園での自由遊び場面での幼児の身体活動パターンを4日間測定を行った。測定結果を基に、この測定方法の妥当性、信頼性を検討するために、家庭での身体活動の実態に関するアンケートを幼稚園での身体活動を測定した日と同日に4回行い、さらに、園での身体活動の実態に関して、教師に対して質問紙調査を行った。その結菓、教師による園での身体活動の実態と、今回作成した身体活動測定の結果に類似した傾向が認められた。また、カテゴリーの中の「活動性」の項目に関して、他の都内のB公立幼稚園9名の測定対象児に関して心拍数の生理的指標を用いて、関連性を検討したところ、全体としては、正の有意な相関が認められた。
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