平成13年度は体育・スポーツ史におけるローカル・アイデンティティー研究に関する基本文献の収集と各国地域における研究の現状や課題について情報を収集した。 2001年7月にフランスで開催された国際体育・スポーツ史学会において、英国(R. Cox氏)、ドイツ(G. Pfister氏)、仏(T. Terret氏)の研究者らとヨーロッパ・アメリカの体育・スポーツ史におけるローカル・アイデンティティー研究に関する研究成果と問題点について情報を収集し、かつ意見交換をおこなった。この結果、各国地域でのローカル・アイデンティティーの概念、とりわけローカルの意味に差異が見られることが明らかになった。 また2001年8月に中国で開催されたアジア体育・スポーツ史学会において中国(態暁正)、台湾(蔡禎雄)、韓国(柳根直氏)らの研究者とアジア各国の体育・スポーツ史におけるローカル・アイデンティティー研究に情報を収集し、かつ意見交換をおこなった。この結果、日本を除いたアジア諸国ではローカル・アイデンティティーの概念が希薄で、ほとんど研究がされておらないこと、仮にあったとしてもナショナル・アイデンティティーを明らかにする研究の下位概念として位置付けられていることが明らかになった。 さらに2001年12月台湾師範大学において日本における体育・スポーツ史におけるローカル・アイデンティティー研究の現状と課題についての連続講演を行った。 また2002年7月に開催される国際体育・スポーツ史学会金沢セミナーに向けて、体育・スポーツ史におけるローカル・アイデンティティーに関するシンポジウムを企画することとし、その内容やシンポジストについて、同大会組織委員会との企画調整を行った。
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