研究概要 |
平成13〜15年度にかけて体育・スポーツ史におけるローカル・アイデンティティー国際比較に関する次のような研究活動を展開した。 1.2002年7月に金沢市で国際体育・スポーツ史学会金沢セミナーを開催した。国内から120名,国外から18ヶ国70名の参加者があり,「ローカルアイデンティティーとスポーツ」をテーマに,約70題の発表と,キーノートレクチャー,ラウンドテーブルワークショップを行った。 この結果、各国地域でのローカル・アイデンティティーの概念が多様であること,しかしながらそれらは各国地域のスポーツ史研究に重要な多様性であることが確認された。この学会開催を通じて特に中国・台湾・韓国・ネパールなどアジア諸国から約50名に及ぶ初の参加者がみられ,活発な意見交換が行われたことが大きな成果となった。 2.2001年8月,中国の成都での東北アジア体育スポーツ史学会,2002年9月韓国プサンでのアジア大会スポーツ科学者会義,および韓国体育スポーツ史学会,2003年12月台湾での東北アジア体育スポーツ史学会等において招待講演・学会発表を行い,日本の体育・スポーツ史におけるローカル・アイデンティティー研究情報を提供するとともに,国際比較研究の必要性について意見交換をおこなった。日本を除いたアジア諸国ではローカル・アイデンティティーの概念が希薄で,ほとんど研究がされていないこと、仮にあったとしてもナショナル・アイデンティティーを明らかにする研究の下位概念として位置付けられていることの問題点が明らかになった。 3.2002年国際体育・スポーツ史学会金沢セミナーで発表された論文の中から,体育・スポーツ史におけるローカル・アイデンティティー国際比較研究に資すると思われる論文を審査選択し,論文集として編集し,ドイツAcademia VerlagからISHPES Studies No.11(ISBN3-89663-266-4)として刊行した。
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