高齢期の骨粗鬆症および筋萎縮を抑制するために必要な運動強度・運動量の検討

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13680023
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 石原 昭彦 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (90184548)
• キーワード: 骨格筋 / 骨 / 筋萎縮 / 骨粗鬆症 / 運動量 / 運動強度 / 最大筋力 / 高齢者

研究概要

健康な50歳代、60歳代、70歳代の男性(各年代31〜35名)を被検者(あらかじめ実験内容を説明して実験に参加することに同意を得ている)に用いて、最大努力、最大努力の80%、最大努力の60%の筋力で膝関節の屈曲および伸展運動を24週間にわたり負荷した。運動には、研究室で独自に開発した運動装置を用いた。1週間に1度、最大努力での屈曲および伸展時の筋力を、また、運動開始時と終了時に骨密度(大腿骨)を測定した。運動開始前は、運動強度に関係なく70歳代の最大筋力は50歳代と60歳代の最大筋力よりも有意に低い値を示した。一方、運動終了後は、最大努力で運動を行ったグループで60歳代と70歳台の最大筋力に違いはみられなかった。これは、高齢期でも最大努力での運動に効果が認められることを示している。骨密度については、運動開始前および運動終了後のいずれにおいても50歳代、60歳代、70歳代で違いがみられなかった。高齢期の実験動物(老化促進モデルマウス)に高強度で自発走運動を負荷して、骨格筋(ヒラメ筋、前脛骨筋、足底筋)および骨(大腿骨)密度に及ぼす影響を検討した。20週間における運動によって老化に伴う筋萎縮は抑制された。一方、老化による骨密度の低下は運動により抑制できなかった。これらの結果より、負荷する運動強度の違いによって高齢期の筋力維持に差異が認められ、運動強度が高い場合には高齢期の筋萎縮を抑制することが可能であることが明らかになった。一方、老化による骨密度の低下は運動強度に関係なく抑制することができないことが明らかとなった。

研究成果

• [文献書誌] Ishihara, A., Roy, R.R., Ohira, Y., Kawano, F., Edgerton, V.R.: "Effects of aging and exercise on density and cross-sectional area of femur in senescence-accelerated mouse prone 6"Journal of Musculeskeletal and Neuronal Interactions. (in press). 2003