研究概要 |
【目的】 ラットを対象に,持久的トレーニングと長期の高脂肪食摂取がグリコーゲンローディングによる骨格筋グリコーゲン含量の増加にどのような影響を及ぼすかについて検討した. 【方法】 実験動物として4週令のWistar系雄ラットを用い,これを普通食群(カロリー比で脂質が13.6%)と高脂肪食群(カロリー比60.2%)に分け,さらに両群を非トレーニング群とトレーニング群に分け計4群とした.トレーニング群には水泳運動を負荷した.5週間の飼育後,全ての群に一過性の2時間の水泳運動を負荷し,運動後直ちに普通食及び5%ショ糖液を与えた.外側広筋の摘出は,一過性の運動前,運動直後,運動4時間後及び24時間後にpentobarbital sodium麻酔下行い,グリコーゲン含量及びグリコーゲン合成酵素活性を測定した. 【結果及び考察】 食餌の違いによる体重の違いは認められなかったが,トレーニング群が有意に低かった.運動前の筋グリコーゲン含量は食餌やトレーニングによる違いが見られなかった.運動直後においては,高脂肪食群より普通食群のグリコーゲン含量が低く,普通食群においては運動時により多くのグリコーゲンが利用されたものと考えられる.運動4時間後及び24時間後においては,各群それぞれ運動前値より著しく高い値を示した.24時間後のグリコーゲン含量は,非トレーニングにおいては,普通食群より高脂肪食群で約30%低く,また,各食餌群においてはトレーニング群が有意に高い値を示した.グリコーゲン合成酵素活性は,運動直後に高くなったが,運動4時間後及び24時間後には運動前より低い値となった.また,食餌やトレーニングによる違いは認められなかった. 以上のことから,持久的トレーニングはグリコーゲンローディングの効果を増大するが,長期の高脂肪食摂取は効果を低下させることが分かった.
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