研究概要 |
【目的】ラットを対象に,脂肪酸組成の異なった高脂肪食を長期に摂取した場合に,グリコーゲンローディングによる骨格筋のグリコーゲン含量の変化にどのような影響を及ぼすかについて検討した. 【方法】実験動物として4週令のWistar系ラットを用い,これを普通食群(脂質カロリー比が約12%)と主に飽和脂肪酸からなる動物性高脂肪食群(脂質カロリー比約60%),主にn-6不飽和脂肪酸からなる植物性高脂肪食群及び主にn-3不飽和脂肪酸からなる魚油系高脂肪食群の4群に分け,5週間飼育した.飼育期間中飼料及び水は自由に摂取させた.飼育期間終了後,全ての群に2時間の水泳運動を負荷し,運動後普通食及び5%ショ糖溶液を与えた.運動前,運動直後,運動4時間後及び運動24時間後にペントバルビタール麻酔下,骨格筋を摘出するとともに,血液を採取した.血中脂質及び骨格筋グリコーゲン含量,GLUT4含量を測定した. 【結果及び考察】体重及び副睾丸脂肪組織重量は食餌による違いが見られなかった.血糖値及びインスリン濃度においても食餌による違いが認められなかった.血中総コレステロールは動物性高脂肪食群でやや高く,逆に植物性や魚油系高脂肪食群では有意に低かった.血中遊離脂肪酸及び中性脂肪量は普通食群に比較し,動物性高脂肪食群で有意に高く,逆に植物性及び魚油系高脂肪食群では著しく低かった.従って,不飽和脂肪酸では高脂血症が予防できるものと考えられる.上腕三頭筋におけるグリコーゲン含量はいずれの食餌群も運動直後に有意な低下がみられ,運動24時間には正常以上にグリコーゲンが上昇した.しかし,食餌の違いによる差は認められなかった.各食餌群のGLUT4含量に差が認められず,このことがグリコーゲンローディングに違いをもたらさなかったものと考えられる.
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