研究概要 |
平成13年度:65歳以上の後期高齢者54名を被険者として、1回の運動時間が90分間、週1回、21週にわたり実施した。54名中45名の医療受診者が含まれていたが、危険防止のための十分な監視体制を取って、参加希望者の全員に参加を認めた。運動の内容は仲間づくりを主としてストレッチングやリズム体操、みんなの体操など極めて軽度な運動である。運動開始第5週と第19週に体力テストを実施した。体力テストは開眼片足立ち、握力、長座体前屈、ステッピング、3分間歩行および明治生命方式生活体力である。54名中40名が2回のテストを受診することができた。総合点により体力を評価すると、不変の1名を除いて39名が確実に向上した。開眼片足立ち、握力、長座体前屈などの静的テスト項目より、生活体力、ステッピング、3分間歩行テストの動的なテスト項目に大きな改善が認められた。 平成14年度:13年度に実施した54名中21名が引き続き14年も同様な運動内容を実施した。総合点により体力を評価すると前年に比べて低下した6名を除いて、15名に維持・改善が認められた。年間を通しての1日の活動量をみるため、13年8月から14年7月までの1年間万歩計による歩行調査を実施した。1ヶ月に20日間以上、1年を通して記録をした。その結果、男女10名の1日の歩行数の平均と標準偏差は8833±1387歩であり、健康日本21に示された2010年の目標値である男子6700歩、女子5900歩をはるかに凌駕していた。週1回の定期的な運動が年間を通じての歩行習慣を定着させたものと推測される。年間を通じて歩行数に変動があり、冬季の1,2月が少なく、5,10,11月が多かった。 結論:後期高齢者は一般的に加齢とともに急速に体力の低下が認められるが、週1回の極めて軽度な運動を定期的に実践するだけで、高齢者にあっても体力の改善が認められる傾向にあった。参加者の95%が以前より元気になったと報告し、なかには腰痛が無くなった、高血圧により通院している人の収縮期血圧が低下した、膝が痛くて座れなかった人が楽に座れるようにになったなど、高齢者の生活の質が確実に向上する事実を観察することができた。
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