1.老人保健施設等に居住する脆弱な高齢者の動作特性および生活活動能力を把握するために、日常生活自立度がA1、A2、B1の71歳から95歳の男女26名について歩行能力・脚伸展筋力・椅子からの立ち上がり動作などの測定を行い、当該施設での活動プログラムとの対応についても検討した。 (1)屋内自立可能なAランク群の10m最大歩行速度は0.7〜0.9m/秒、等尺性脚伸展筋力(片脚)は3.2〜3.5N/kg体重、上肢で下肢を押さずに立ち上がれる椅子の高さは30cm前後であった。 (2)A1に対しては移動をともなう活動を含めて多様なプログラムが用意されていたが、A2ではその場での立位および椅座位での、B1では椅座位での低強度プログラムのみの対応であった。 (3)日常生活時の身体活動量の評価(週内・週間変動を含む)および活動プログラム実施日/非実施日の身体活動水準の変化については、現在加速時計を用いた測定器によって調査中である。 2.フィールドでの調査研究の予備実験として、実験室において床反力-画像データの同時呈示システムの構築、脆弱な高齢者向けの歩行解析ソフトのカスタマイズ、筋電図解析を行った。 (1)最大膝関節伸展時の筋放電量で正規化すると、通常歩行時はその25〜30%、椅子からの立ち上がり時は50〜60%前後であった。他の日常生活動作や高齢者を対象とした比較検討を進めたい。 (2)歩容が一般成人と大きく異なる脆弱な高齢者向けの歩行解析ソフトのカスタマイズと床反力-画像同時呈示システムの構築はほぼ完了した。今後フィールドにおいて脆弱な高齢者の歩行データの収集と、歩行能力の改善のための検討を行う予定である。
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