平成13年度は、山形県を対象にしてフィールドワークを実施した。フィールドワークにあたっては、最初に、山形県内の図書館ならびに教育委員会などに所蔵されている、県内の民俗行事に関する資料を閲覧し、その中でいわゆるスポーツと関係すると思われる行事を抽出し、それを一覧として整理した。その後、調査対象を選別し、今回は、庄内地方に位置する鶴岡市でおこなわれている「鶴岡冬祭り」を対象にして、平成13年末に一度調査を実施した。祭りにおける資料などの整理と分析については、まだ、調査途中にあるので、今後継続していく必要があるが、データの分析についての検討は、若干の進展が見られた。 平成14年2月に、スポーツ人類学ならびに文化人類学の研究者たちと、フィールドデータの分析についての意見交換を行い、これまでとは異なる、あるいは今までのスポーツ人類学におけるフィールドワークの問題点を洗い出すことができた。これまでのスポーツ人類学の最大の問題点は、「スポーツ」を「文化」として捉えるのではなく、「スポーツ」を「パフォーマンス」と捉えている点であると考えられる。この視点の違いは、スポーツを取り巻く社会にも注目するのか、それともスポーツそのものにだけ目を向けるのかの違いを作り出し、これが結局のところ、フィールドワークの方法に大きな影響を与えているのではないかと考えられる。 次年度以降は、フィールドに対する視点と、それに伴うフィールドワークの方法を複数試みながら、その結果の誓いを明確にしていく予定である。
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